告知後の「心の嵐」の中にいるあなたへ
「がんです」という言葉を受け取ったあの日から、世界の色が変わってしまったように感じてはいませんか?
医師の説明を聞きながら、頭の中では別の声が「まさか自分が」「何かの間違いではないか」と叫び続けていたかもしれません。病院の帰り道、行き交う人々の日常がひどく遠くに見えたり、夜、静寂の中で得体の知れない恐怖が足元から這い上がってきたり……。そんな、言葉にできない孤独の中に、今あなたは立っているのではないでしょうか。
「これからどうなってしまうんだろう」
「なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか」
「家族に、大切な人に、なんて伝えればいいのか」
次から次へと押し寄せる問いに、心が押しつぶされそうになるのは、決してあなたが弱いからではありません。がんと向き合うプロセスにおいて、心が激しく揺れ動くのは、あなたがこれまで一生懸命に人生を歩んできたからこそ生じる、ごく自然な反応なのです。
今はまだ、前を向こうと無理に笑わなくて大丈夫です。 まずは、その行き場のない不安や、震える心を「そのまま」受け止めることから始めてみませんか。
この記事では、診断直後の混乱した心を少しずつ解きほぐし、あなたが再び「自分の時間」を取り戻していくためのヒントをまとめました。 暗闇の中で、小さな灯りを見つけるような気持ちで、ゆっくりと読み進めてみてください。
告知直後に訪れる『心の嵐』
がんと診断された直後、多くの人が「頭が真っ白になり、何も考えられなくなる」という状態に陥ります。これは医学的にも「心理的ショック期」と呼ばれる自然な反応です。このパニック状態から抜け出し、適切な治療へ一歩踏み出すためには、個人の精神力に頼るのではなく、「情報を整理する仕組み」を取り入れることが重要です。

多くの人が経験する「告知直後のリアル」
「医師から宣告を受けた帰り道、自分がどこを歩いているのかさえ分からず、ただ涙が止まりませんでした。ネットで検索すればするほど、怖い言葉ばかりが目に飛び込んできて……。」
引用元:国立がん研究センター がん情報サービス「告知、その時」
「半分やけくそ状態でもあったと思う。頭の中は真っ白で足が宙に浮いていて、何も手につかなかったような感じがした。」
引用元:静岡がんセンター「がん告知 ショック(強い衝撃、頭が真っ白)」
「がんイコール死と思い、頭の中が真っ白になった。不安と恐怖でいっぱいだった。まずどうして自分が(がんになるのか)と思った。」
引用元:静岡がんセンター「がん告知 ショック(強い衝撃、頭が真っ白)」
ステップ1:情報の「蛇口」を絞る
不安に突き動かされて24時間スマホで検索し続けることは、かえってパニックを悪化させ、心のエネルギーを奪ってしまいます。まずは情報の入り口を制限し、心の平穏を取り戻しましょう。

ネットで検索すると、どうしても『ステージ4から奇跡の生還』か『数ヶ月で亡くなった』という極端な話ばかりが目に入ってしまいました。自分の病状はその中間かもしれないのに、極端な情報に振り回されて毎日泣いていました。
引用元:静岡がんセンター:がん告知 ショック(頭が真っ白)



『このサプリで治った』という広告や、科学的根拠のないブログを読み漁り、一時は標準治療を受けるのが怖くなってしまいました。冷静さを失うことが、体だけでなく心にとっても一番の毒だと後で気づきました。
参照元:がんサバイバー・クラブ:体験談
夜間の過ごし方
ショックを受けている時期は心身ともに疲れやすいため、十分な休息を優先し、刺激の強い情報(特に不安を煽るネット情報)から距離を置くことが重要
参照元:静岡がんセンター「もしも、がんと言われたら」
SNS・個人ブログへの注意
個人の体験談やSNSの情報は、特定の条件(体質やステージ)に基づくものであり、すべての人に当てはまるわけではないこと、また不安を煽る可能性があることを警告しています。
参照元:静岡がんセンター「もしも、がんと言われたら」
情報の絞り方
インターネットには膨大な情報がありますが、すべてが正しいわけではありません。「がん情報サービス」のような、科学的根拠(エビデンス)に基づいた公的機関の情報を優先的に利用することを推奨しています。
参照元:国立がん研究センター「がん情報サービス」
ステップ2:自分専用の「がんノート」を1冊作る



頭の中だけで考えようとすると不安がループするんです。そこで、もらった資料も、先生への質問も、全部1冊のノートに書き出すようにしました。書くことで、少しずつ客観的になれました。
引用:がんノート:がんサバイバーのリアルな声
告知直後の理解力・記憶力の低下を補うため
がんの告知を受けた直後は心理的なショック状態にあり、医師の説明を十分に理解したり、記憶に留めたりすることが一時的に難しくなることが知られています。メモを取ることは、その瞬間の事実を正確に保存するための有力な手段です。
参照元: 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと診断された あなたに 知ってほしいこと」
限られた診察時間を最大限に活用するため
病院での診察時間は限られており、緊張から聞きたいことを忘れてしまうのは珍しいことではありません。事前に質問内容をノートに整理しておくことで、要領よく医師とコミュニケーションを取ることが可能になります。
参照元: 国立がん研究センター がん情報サービス「情報を集めるときに大切にしたいこと」、埼玉がんサポートハンドブック
医療チーム全体で情報を正しく共有するため
作成したノートは、医師だけでなく看護師やがん相談支援センターの相談員など、自分に関わるすべての医療スタッフに見せることができます。情報を一箇所にまとめることで、チーム全体であなたの状況や希望を把握しやすくなります。
参照元: 国立がん研究センター「がん患者必携 わたしの療養手帳」
ステップ3:ノート作成の具体的な手順
スマホのメモ機能よりも、手書きができるアナログなノートを1冊用意することが推奨されます。診察室で医師にサッと見せたり、医師に直接図やメモを書いてもらったり、受け取った資料をその場で貼り付けたりしやすいため、情報の集約に適しています。
内容: 診察時間は限られており、緊張や不安から聞きたいことを忘れてしまうのは珍しいことではありません。不安や疑問が浮かぶたびにノートへ書き留め、事前に「質問リスト」として準備しておくことは、限られた診察時間を有効に活用するために非常に効果的です。
- 具体的な質問例: 「今の病名と進行度(ステージ)は?」、「これからどんな検査や治療が必要か?」、「仕事や生活で制限されることはあるか?」
検査結果のコピー、病院でもらったパンフレット、医師の名刺、領収書などをすべてこのノートに集約します。情報を一箇所にまとめておくことで、医師だけでなく看護師や相談員などの医療チーム全体に対して、自分の状況や希望を正確かつスムーズに伝えることができるようになります。
参照元、出典
- 国立がん研究センター「がん患者必携 わたしの療養手帳」
- 埼玉がんサポートハンドブック「もしも、がんと言われたら」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がんと診断された あなたに 知ってほしいこと」
まとめ:自分を支えるための「一歩」をここから


がんの告知直後は、頭が真っ白になり、先行きの見えない不安に押しつぶされそうになるのは、医学的にも認められている自然な反応(心理的ショック期)です。このパニック状態を鎮め、治療に向き合うための準備を整える3つのステップを改めて振り返りましょう。
心を守るためのアクションリスト
- 情報の「蛇口」を絞る
24時間のスマホ検索を止め、信頼できる公的機関の情報だけにアクセスを限定する。 - 「がんノート」を1冊作る
ショックによる記憶力・理解力の低下を補うために、医師への質問や感情をすべて書き出す。
STEP1:アナログなノートを1冊用意する
医師が図を書き込んだり、資料を貼ったりしやすい紙のノートを準備します。
STEP2:医師への「質問リスト」をメモする
診察室での聞き忘れを防ぐため、事前に聞きたいことを箇条書きにしておきます。
STEP3:すべての資料・記録をこの1冊にまとめる
検査結果、名刺、パンフレットなど「これ一冊を見ればいい」状態を作ります。
次のアクション:信頼できる「拠点」を確認する
まず最初にノートに書き留めるべきは、日本で最も信頼できる公的情報サイトの内容です。告知直後の不安への向き合い方や、医師とのコミュニケーションの取り方など、今すぐ役立つヒントが詰まっています。
補足: 国立がん研究センターが運営する「がん情報サービス」は、科学的根拠に基づいた情報を発信する日本の拠点です。特に「診断されたばかりの方へ」のページにあるチェックリストは、ノート作りの大きな助けになります。



